「運転が上手くなりたいならFRに乗れ」
発売されている殆どのクルマがFFになっている現代、スポーツカーの代名詞であるFR車は貴重な存在になってしまいましたが、車好きの中には根強く『FR至上主義』が存在するのも事実です。
FF? FR? って何?
どこのタイヤで動力を地面に伝えるかの違いなんだ
・・・動力? タイヤ?
車好きがこだわるFFやFRというのは『自動車の駆動方式』のことでエンジンで発生させたパワーをどのタイヤから地面に伝えて走るかということ。一般的な車はエンジンをフロント(運転席より前)に積んでいて、そのエンジンで発生させたチカラでタイヤを回して走るんだけど、フロント(前の)タイヤを回すのがFF、リア(後ろの)タイヤを回すのがFR。4輪全てを回して走るのが4WDとかAWDと呼ばれる駆動方式なのです。
なんか意味あるの?
それぞれの駆動方式にはメリット、デメリットがある
・・・へぇ〜
この記事では、自動車の駆動方式の違いによるメリット、デメリット。FR車を信仰する人の頭の中を解説します。
FRだと車の運転が上手くなるの?
そう言われる理由も考えてみるよ
FR至上主義が根強く残っている理由
クルマは「FRじゃなければ面白くない」なんていうのは、20世紀の古い考えであって最新のクルマでは細かい挙動の違いはありますが、一般の人にとってはFFもFRも変わりません。
自分の車の駆動方式を気にしている人は少ない
だけど、一部のマニアはFR至上主義というか、FRの方が車らしいという『FR信仰』にまで発展しているのです。
FR信仰が生まれたきっかけは駆動方式によるハンドリング性能の違いで、電子制御がないクルマでは顕著なのですが、高速になると駆動方式がFFや4WDの車は直進性は高いけど、曲がりにくかったのです。高速運転中でも丁寧な荷重移動、ステアリング操作、アクセル操作を行うとFR車はクイっと曲がるのでFR信仰に発展したような気がします。
曲がらない車って危なくない?
日常で運転していると分からないよ
ですが、現代のクルマは電子制御が発展しFFでもFRでも4WDでもドライバーのハンドル操作に合わせてクルマがアシストしてくれるので駆動方式で大きな差はありません。FRが曲がってFFや4WDが曲がらなかったのは1990年代までの車であって現代の車はFFでも4WDでもグイグイ曲がります。
ところでFRって何の略?
フロントエンジン・リアドライブの略なんだ
FFとFRの違い
現在発売されているほとんどの車はFFを採用していて、一部の高級車やスポーツカーがFRを採用している程度です。FFはフロントエンジン・フロントドライブの略でクルマの前方にエンジンを積み前輪が動力を地面に伝える仕組みで、FRはエンジンを前方、後輪が動力を地面に伝える仕組み。
現代のパワーバランスから言ってFFの方が優勢なんだけど、実際にはFFにも長所と欠点があるし、FRにもメリットとデメリットがあります。
FFのメリット/デメリット
一般的にエンジンを前方に積んでいるので駆動する前輪に動力を伝えるため部品が少なくなるし、乗車位置にはあまり干渉しないので室内を広くレイアウトすることが可能です。車に求められる快適性、広さを実現するためにはFFの方が有利で、現代発売されている車のほとんどはFFを採用しています。
デメリットは、前輪だけで走って曲がり、後輪は引っ張られているだけなので前後輪で負担のかかり具合に差が出てしまいます。前後輪で摩耗具合が極端に変わるので定期的にローテーション(前後左右のタイヤを付け替え)を行う必要があります。
ローテーションなんてしたことない・・・
きっと定期点検や車検のときにやってくれてるよ
カーブでは重い前部に遠心力がかかり、外にふくらむアンダーステアが出やすくなります。ですが、FF駆動は全般的なクセが少なく万人受けします。
FRのメリット/デメリット
FRは後輪が駆動し、前輪は方向変更、後輪は推進と役割が分かれています。
後輪を滑らせ、豪快に走るドリフト走行が容易にできるのがFRで、この後輪が滑るというのが最大の特徴です。FRは駆動する後部が軽いのでグリップ力が確保しにくい傾向があり、雪道や濡れた路面などの場合、意図せずに後輪が流れる「尻振り」状態になるオーバーステアが出やすくなります。
FR駆動は不慣れな場合、やや扱いにくくなります。
怖くない?
尻を振るような限界走行なんて普通しないでしょ?
結局、FFとFRのどっちが良い?
どうしてFFがこれだけ多くの車に採用されるかというと、エンジンと駆動タイヤが近くにあるというメリットがデカくて、近くにあれば単純で簡単に作れ、部品も少なくて済み、低価格での販売が可能になるし、車内が自由にレイアウトできるというのは、スポーツカーを求めない人たちにとってFF車は『安く・快適な車』という希望にあった車になるのです。
ハイパワーな車は急加速時にどうしてもリア側に荷重がかかり、後輪駆動のFRの方が有利だったんだけど、最近は電子制御が発展してFFでもハイパワーな車が発売されているし、FR優位は少なくなってきています。
前輪で引っ張るFFに対し後輪で押し出すFRは自然なフィーリングと評されることが多く、ドリフトを誘発させやすく、カウンターステアでコントロールすることをFRの魅力として挙げる人も少なくありません。だけど多少、フィーリングは違うけど、FFでも後輪が滑ることもあるし、タイミングや細かい操作は違うけどFFでもカウンターを当てて制御するのは同じなのです。
僕は個人的にはFRの方が自然な感じはするけどね
FFや4WDを否定する「FR至上主義」
僕はFFでも4WDでも良いと思っています。現代の車はFRの優位性はあまり高くないと思います。ですが、それは現代のクルマに限るのです。
1990年代の車だと現代の車とは違い、FFとFRの挙動は誰が乗っても分かるくらい全然別物でした。当時のFFとFRではハンドリング操作の違いが段違いでした。そして、その頃の車に『思い出バイアス』が加わり、FR至上主義になるのです。
さらに当時は、手に入れやすく維持費もかからない「手軽なFR車」が多くあり、そんなクルマで運転技術を磨いた当時の若者たちからすれば、FRに乗ることで運転が上手くなると考えても、仕方がないのです。ハチロクやユーノスロードスター、シルビア、180SXなど安く手に入るFRの車も多く、思い出バイアスがかかり、FRこそウデを磨く最高のクルマと考えるのも必然だと思います。
ドリフト、尻振り状態になりやすいのはFRです。FFや4WDでもカウンターでコントロールをするのは一緒ですが、FRはある意味、不安定になる限界が低いため、低速でも尻振り状態になり、カウンターステアをあてアクセルで立ち直すなど、限界運転の練習が行えるのも事実です。
普通に運転をしていれば、尻振り状態になることはありませんが、車の限界を知り対応するための技術を学びやすいので、そういった意味ではFR駆動の車は唯一無二の存在なのかもしれません。
まとめ
個人的にはFRの車の方が運転をしていて楽しいと認識していますが、最近の技術の発展は凄まじく、全然曲がらない4WDの車でもグイグイ曲がりFRよりも速く曲がれるのです。CGのように気持ち悪い曲がり方が当たり前に行えるのが現代の車なのです。
FRのNAロードスターに乗っている僕がいうのも可笑しいのですが、FRだけが楽しい車ではないのです。
個人的にはFR車が好きだけどね
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